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京都地方裁判所 昭和48年(わ)83号 判決

本籍

大阪市東区徳井町一丁目一八番地

住居

京都区北区衣笠開き町六番地の四

会社役員

出野誠治

昭和一二年三月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中靏聳出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

但し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、肩書住居に居住し、京都市中京区両替町通二条下る金吹町四七四番地において出野祐商店の屋号で茶道具一式の卸売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和四四年分の総所得金額が二、七一三万四、九三九円で、これに対する所得税額が一、二八九万五、二〇〇円であったのにかかわらず、公表経理上売上金の一部を除外し、これで架空名義の簿外預金を設定するなどの不正の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四五年三月一〇日同市中京区柳馬場通二条下る等持寺町一五番地所在の所轄中京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四八七万五、三〇六円で、これに対する所得税額が九二万六、五三〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正当な所得と右申告にかかる所得税額との差額一、一九六万八、六七〇円を免れ

第二  昭和四五年分の総所得金額が四、一一一万一、三九六円で、これに対する所得税額が一、五九六万五、二〇〇円であったのにかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四六年三月一〇日前記中京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、〇八六万九、一〇七円で、これに対する所得税額が一四二万七、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正当な所得税額と右申告にかかり所得税額との差額一、四五三万七、七〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全体を通じ

一  被告人の当公判廷における供述

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書一八通

一  被告人作成の確認書六通および同人の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の回答書(検甲第三号)脱税額計算書説明資料付表(同第八号)および調査書二通(同第二二号第二三号)

一  大蔵事務官の杉田兵次郎、山倉国道、落合賢次、山倉慶子、西田夏彦、出野艶子、出野公子に対する各質問てん末書

一  山倉国道の検察官に対する供述調書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検甲第一号)、脱税額計算書(同第四号)および脱税額計算書説明資料(同第六号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検甲第二号)、脱税額計算書(同第五号)および脱税額計算書説明資料(同第七号)

一  大蔵事務官の斉藤隆一、島田泰男、寄神恒男、檜垣勝彦に対する各質問てん末書

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二の各所為は、いずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、情状により懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪の関係にあるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により重い右第二の罪の刑に法廷の加重をし、罰金刑については、同法四八条二項により右各罪所定の罰金額を合算し、その刑期および金額の範囲内で被告人を懲役六月および罰金四〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、なお諸般の情状を考慮し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木之夫)

右は謄本である。

昭和四八年九月三日

京都地方裁判所

裁判所書記官 高橋弘

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